Dr.ノンの研究所成長期×ヨーグルト‐Dr. Non's laboratory‐
将来の健全な心身形成に向けて
食生活を大切にしたい時期です
幼児期は1歳から小学校入学まで、学童期は小学校の時期で6歳から11歳までのことです。
この時期は心身ともに成長し、成長してからの食生活にも大きく関わってくる大切な時期です。
そのため、理想的な生活習慣を身につけていきたい時期でもあります。
ここでは、健康で心豊かな充実した一生を過ごすために必要な食生活について、
発酵食とからめて具体的に説明していきます。
幼児・学童期
1歳から6歳までに、身長は1.5倍、体重は2.0倍になり、学童期前半では、年間身長が平均5.5~6.0cm程度伸び、学童期後半では女子では9~11歳で年間平均6.5~7.0cm、男子は11~13歳で7.0~7.5cm伸びる成長急伸期を迎えます。
栄養状態を評価しましょう
子どもの栄養状態を身長と体重から評価してみましょう。
子どもの栄養状態簡易評価
フォーム(1~11歳)
- 年齢:
- 歳
- 身長:
- cm
- 体重:
- kg
- 結果
成長期について
1)たんぱく質を含む食品を積極的に
たんぱく質食品の目安としては、1日に魚類、肉類がそれぞれ50~70g、乳類250~300g、卵が40gです。朝に卵料理と乳製品(ヨーグルト、チーズなど)を取り、昼または夜に魚料理、肉料理でたんぱく質の摂取は充足します。
2)鉄を含む食品を積極的に
学童期は成長に伴って血液も増えます。例えば、男児は運動量の増加や筋肉の発達のため血液が必要になり、女児は初潮の到来で血液が失われてしまいます。
このように血液が必要なのですが、造血に必要な鉄が不足すると貧血が起こりやすくなります。鉄を含む食材を料理に取り入れるようにしてください。
ただし、植物性食品に含まれる鉄(非ヘム鉄)は動物性食品に含まれる鉄(ヘム鉄)に比べて吸収は6分の1くらいという報告もあるくらい悪いので、食べる量が少なくて、鉄を摂取したい場合は動物性食品からの鉄の摂取が有効でしょう。
たんぱく質やビタミンCを含む食品と一緒に摂取すると鉄の吸収がよくなりますので、焼肉をする場合、ソースにレモン汁を入れると鉄の吸収がよくなります。
1日に6.5~8.0mg摂取してください。
鉄を含む食品(常用量) | 鉄量(mg) | |
---|---|---|
穀類 | そば(ゆで)(240g) | 1.9 |
マカロニ、スパゲッティ(乾)(100g) | 1.4 | |
種実類 | ごま(炒り)(10g) | 1.0 |
豆類 | 大豆(乾)(20g) | 1.9 |
納豆(1包み)(50g) | 1.7 | |
魚介類 | しじみ(50g) | 2.7 |
かつおフレーク(50g) | 1.3 | |
かき(5~6個)(60g) | 1.1 | |
獣鳥肉類 | 豚・肝臓(60g) | 7.8 |
和牛ヒレ(100g) | 2.5 | |
野菜類 | ほうれん草(70g) | 1.4 |
小松菜(70g) | 2.0 | |
大根・葉(70g) | 2.2 | |
スイートコーン(中1本 200g) | 1.6 | |
海藻類 | 干しひじき(5g) | 2.8 |
3)カルシウムを多く含む食品を積極的に
骨の成長のためにカルシウムが不足しないように、カルシウムを多く含む食品を食べてください。たんぱく質はカルシウムの吸収をよくします。牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品は、カルシウムとたんぱく質の両方多く含むので、カルシウムを効率よく吸収するには、優れた食品です。野菜に含まれるしゅう酸はカルシウムの吸収を妨げるので吸収率が低くなっています。
カルシウムは1日に600~700mgを摂取してください。
カルシウムの吸収率
食品名 | カルシウムの吸収率(%) |
---|---|
牛乳 | 39.8 |
小魚 | 32.9 |
野菜 | 19.2 |
カルシウムを多く含む食品(常用量)
献立例1
献立名 | 食品名 | 重量 (g) |
カルシウム (mg) |
|
朝食 | しらすヨーグルトサラダ | かぼちゃ | 20 | 3 |
きゅうり | 20 | 5 | ||
ミニトマト | 20 | 2 | ||
しらす干し | 10 | 52 | ||
ヨーグルト | 5 | 6 | ||
マヨネーズ | 5 | 0 | ||
<調味料類>(食塩類)食塩 | 少々 | |||
朝食合計 | 80g | 68mg | ||
間食 | ヨーグルト | <牛乳及び乳製品>(発酵乳・乳酸菌飲料) ヨーグルト 全脂無糖 |
150 | 180 |
間食合計 | 150g | 5.4mg | ||
昼食 | 鶏肉のヨーグルト味噌焼き | 鶏むね肉(1枚) | 200 | 8 |
赤味噌 | 15 | 20 | ||
ヨーグルト | 30 | 36 | ||
酒 | 10 | 0 | ||
みりん | 10 | 0 | ||
はちみつ | 5 | 0 | ||
油 | 5 | |||
昼食合計 | 260g | 64mg | ||
間食 | アイスクリーム | 150 | 210 | |
間食合計 | 150g | 210mg | ||
夕食 | 野菜入りハンバーグ | ひき肉 | 100 | 6 |
玉ねぎ | 50 | 11 | ||
にんじん | 30 | 8 | ||
ヨーグルト | 20 | 24 | ||
パン粉 | 5 | 1 | ||
<調味料類>(食塩類)食塩 | 5 | 1 | ||
油 | 5 | |||
夕食合計 | 215g | 51mg | ||
総合計 | 855g | 573mg |
※ 朝食、昼食、夕食の献立名は主菜のみ記載
献立例1▼タップすると開きます
献立例2
献立名 | 食品名 | 重量 (g) |
カルシウム (mg) |
|
朝食 | 塩こうじヨーグルト食パン | 食パン(1枚) | 60 | 17 |
ヨーグルト | 30 | 36 | ||
バナナ | 30 | 2 | ||
塩こうじ | 2 | 0 | ||
こしょう | 少々 | |||
朝食合計 | 122g | 55mg | ||
間食 | ヨーグルト | <牛乳及び乳製品>(発酵乳・乳酸菌飲料) ヨーグルト 全脂無糖 |
150 | 180 |
間食合計 | 150g | 180mg | ||
昼食 | 豆腐としらすのハンバーグ | だいず [豆腐・油揚げ類] 木綿豆腐 | 70 | 60 |
しらす干し | 7 | 36 | ||
片栗粉 | 10 | 1 | ||
<調味料類>(食塩類)食塩 | 少々 | |||
油 | 5 | |||
ポン酢 | 適量 | |||
昼食合計 | 92g | 97mg | ||
夕食 | 桜えび入りオムレツ | 鶏卵 全卵 生 | 60 | 31 |
桜えび | 10 | 200 | ||
ネギ | 10 | 10 | ||
チーズ | 5 | 32 | ||
油 | 5 | |||
夕食合計 | 90g | 273mg | ||
総合計 | 454g | 605mg |
※ 朝食、昼食、夕食の献立名は主菜のみ記載
献立例2▼タップすると開きます
また、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進します。カルシウムとビタミンDを一緒に食べることができるような献立を考えてください。
ビタミンDの1日の摂取目安量は、1歳から5歳までは2.0~2.5μg、6歳から11歳は3.0~4.5μgです。
例えばビタミンDを豊富に含む鮭は、小さなお子さんにも人気がある食品です。普段は塩焼きや刺身で食べることが多いご家庭でもこうじや味噌に漬けて調理してみてはいかがでしょうか。幼いころから発酵食の味に親しむことで、将来的にも発酵食を取り入れた食生活を送りやすくなります。
ビタミンDを多く含む食品(常用量)
食習慣について
2)噛まない
日本人の食事が軟らかくなってきており、噛まずに飲み込みがちです。これにより消化不良を起こしたり、あごや歯の発達を妨げて、肥満を招きやすくなりますので、1~2歳の歯がそろう時期に、噛む習慣をつけるようにしましょう。
3)間食
幼児期の間食は1~2歳では、エネルギーの20%(180~190kcal)を午前10時と午後3時に、3~5歳では15%(188~195kcal)で午後3時が適当です。
間食は不足するエネルギー(コーンフレーク、パンなど)やたんぱく質(チーズ、ヨーグルトなど)などの栄養を補給するほか、水分補給も目的ですので、牛乳や果汁も使用してください。
市販のお菓子のエネルギー量を表に示しました。これを参考にして、市販品を与える時には包装容器のまま与えたりせず、必要量だけ与えるように気を付けてください。
菓子名 | 重量(g) | エネルギー(kcal) | |
---|---|---|---|
和菓子 | 大福 | 1個 約100 | 250 |
串団子 | 1本 60 | 120~130 | |
どら焼き | 1個 100 | 250 | |
カステラ | 1切 50 | 160 | |
水羊羹 | 1切 60 | 110 | |
せんべい | 1枚 約20 | 80 | |
洋菓子 | ケーキ | 1切 100~150 | 350 |
シュークリーム | 1個 70 | 170 | |
クッキー | 1枚 10 | 50 | |
パイ | パイ 8 | 45 | |
ビスケット | 1枚 7 | 30 |
食物アレルギー
食物アレルギーの場合、原因となる食品(アレルゲン)を摂取すると、じんましん、咳、呼吸困難、喘息、嘔吐、皮膚症状などが症状として現れます。
アレルギー症状がみられる時は、その食品を全く含まない除去食にしますが、除去食が1~2年続くとその食品への抵抗力が生じてきて、一生、食べることができない可能性もでてきますので、除去食を摂取しながらでも専門医の検査を受け、食事内容について指導を受けましょう。
学童期後半になってくると、食物アレルギーにも変化が現れてくる可能性が大きいとの報告もあります。個人により、異なりますので、専門医に相談しながら食事について進めていきましょう。
1歳から11歳までは、心身ともに成長が著しい時期です。身体を作るこの時期には肉類・魚介類・大豆製品・卵類などのたんぱく質食品を充分に摂取する必要があります。たんぱく質は骨を構成するカルシウムや血液を構成する鉄の吸収を助けるという役割もあります。この時期に胃や腸などの消化管の能力が身体の発達に追いついていない場合、食べ過ぎると下痢を起こしてしまう場合もあります。
発酵食品はたんぱく質がポリペプチド・ペプチコ・アミノ酸に、炭水化物は多糖類・少糖類・単糖類にすでに分解されていますので、消化能力の発達が遅れている場合でも、胃や腸に吸収されやすいため、消化管への負担が少なく、エネルギーや栄養としての役割を果たすことができます。
また、疲れて食欲がない場合でも、一部分解されている発酵食品は消化管への負担が少ないので、食べた後に無理して食べたという感覚は少ないと思います。発酵食品を上手に取り入れて、成長期にはしっかり身体を作っていきましょう。
ライフステージごとの
ヨーグルトの活用
監修 中部大学応用生物学部食品栄養科学科 教授 小川 宣子
協力 中部大学食品栄養科学科管理栄養科学専攻学生 後藤 匠