Dr.ノンの研究所スポーツ×ヨーグルト‐Dr. Non's laboratory‐


生活習慣病予防のために運動を
健康を維持するには、栄養(食事)だけでなく、休養(睡眠)、運動が必要です。
有酸素運動を取り入れることで、生活習慣病の予防ができます。
ここでは運動の大切さとともに、発酵食品を上手に取り入れた
運動後の身体ケアについて説明していきます。
運動やスポーツの目的

運動やスポーツの目的は2つに分類できます。
- 体力づくりや健康の維持増進、特に生活習慣病の予防と治療を目的としたレクレーションスポーツとストレス解消や楽しむためのレジャースポーツ
- 競技力を高めて記録を競い、試合に勝つことを目的としたアスレチックスポーツ

有酸素運動
レクレーションスポーツ・レジャースポーツより基礎代謝が高まり、肥満の予防や血清脂質が低下し、生活習慣病の予防が期待できます。また、成長期にはスポーツにより骨の生成、高齢期には骨量や骨密度の維持、ストレス時には副交感神経の働きを高め、ストレス解消につながります。
生活習慣病の予防や治療には、ジョギングやエアロビクスなどの有酸素運動が奨励されています。
その理由は以下の通りです。
有酸素運動によって、脂肪が分解し、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が増え、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減少させると言われています。


有酸素運動によって心肺機能が強化され、末梢の血液循環、脂質代謝が改善されます。ただし高血圧の方は、負荷が大きな運動は避ける必要がありますが、有酸素運動は血圧降下が報告されています。


運動開始直後
筋肉に含まれているグリコーゲンが分解されてグルコースになり、これがエネルギー源になります。この時、グリコーゲンが不足していると筋肉のたんぱく質がエネルギーに使用されてしまうので、糖質から合成されるグリコーゲンを蓄積しておく必要があります。

運動開始30分
血液中のブドウ糖が消費されるのに約20分かかります。その後、脂肪が分解されて筋肉や心臓などの組織でエネルギーに利用されます。

運動後
運動終了後は、筋肉組織の損傷、赤血球破壊、水分損失が起こります。


運動終了後の食事の内容
運動終了後は、①筋肉組織の損傷、②赤血球破壊、③水分損失が起こります。
これに対応するために、以下の3つのことを心掛けましょう。
筋肉組織の損傷には⇒
スポーツ終了後、たんぱく質食品
(肉、魚、肉、ヨーグルトなどの
乳製品、大豆製品)を摂取する。
スポーツを開始後に筋肉たんぱく質の分解が始まりますが、その後、1~2時間後には成長ホルモンの活性が上昇し、筋肉たんぱく質を合成する能力が高まっていきますので、このタイミングでたんぱく質を摂取すれば、筋肉が修復されます。

ただし、摂取しすぎると、たんぱく質が分解されて尿に排出され、肝臓や腎臓に負担がかかるので注意が必要です。たんぱく質の摂取の目安は 1.5~2g/kg体重です。60kgの人ならたんぱく質が75gから120gですので、たんぱく質量の表を参考にして組み合わせて摂取してください。
筋肉の合成は睡眠中に活発に行われるため、たんぱく質食品は夕食に摂取すると筋肉たんぱく質の修復には有効です。

赤血球破壊には⇒
鉄を含む食品を摂取する。
激しい運動では、頻繁に踵にかかる衝撃や循環血液量の増加で毛細血管が摩擦し、赤血球が破壊することから血液中の鉄が不足します。赤血球を合成するには鉄が必要ですので、鉄を多く含む食材を取るようにしましょう。
鉄の摂取については、成長期編を参考にしてください。
鉄の吸収を促進するにはビタミンCやクエン酸などを多く含んだ柑橘類(レモン、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ)を一緒に摂取します。
赤血球を構成するヘモグロビンの合成はたんぱく質が合成される睡眠中に行われるために、たんぱく質と一緒に鉄を多く含む食品を夕食に摂取すると赤血球の合成に効果的です。

水分損失には⇒
食塩水と砂糖水を補給する。
運動時の体温上昇は、発汗によって調整されています。したがって、体内の水分が不足していきます。体重の2%の体水分を損失すると、競技能力が低下すると言われています。
運動時だけでなく、暑熱環境下や湿度の高い環境では、こまめに水分補給を行って、体温調整をする必要があります。
0.2%程度の食塩と5%程度の糖分を加えるとのど越しがよく、吸収もよいと報告されています。また、2時間以上、運動を継続する時には水分補給とともに、カルシウムやカリウムのミネラルを補う必要があります。
ヨーグルトなどの乳製品はカルシウムを多く含むので、スポーツ終了後のミネラル補給には有効です。
甘酒は、糖分がすでにグルコースになっているために、吸収が早く、エネルギー補給には有効です。少し甘いと感じるなら、薄めて飲んでもいいでしょう。



スポーツ編まとめ
スポーツを生活の中に組み入れていくことで、骨の生成・骨粗鬆症の予防、生活習慣病の予防、ストレス解消などの効果があります。これの効果を一層有効にするには、食事の内容やタイミングが重要です。
たんぱく質はスポーツを行うためのエネルギー源となり、スポーツ終了後には損傷した筋肉を修復するためにもたんぱく質を含む食品の適度な摂取が必要です。ヨーグルトはたんぱく質を含み、スポーツ後に失われるカルシウムを補うことができる食品です。
ヨーグルトや甘酒などの発酵食品は、たんぱく質や糖が、ペプチド・アミノ酸やグルコースにすでに分解している状態で存在しています。したがって、スポーツ中やスポーツ後の疲れている状態であっても、消化管から血液中への栄養素の吸収速度が速いため、栄養素がエネルギーに早く変換し、疲れの回復や筋肉の修復に繋がっていきます。
スポーツをしている時、終了した時に発酵食品やたんぱく質食品であるヨーグルトを上手に取り入れていってください。
ライフステージごとの
ヨーグルトの活用
監修 中部大学応用生物学部食品栄養科学科 教授 小川 宣子
協力 中部大学食品栄養科学科管理栄養科学専攻学生 後藤 匠