Dr.ノンの研究所ストレス×ヨーグルト‐Dr. Non's laboratory‐
ストレス社会を健康に生きる
ストレスとは、物質に何らかの刺激が加わることで「ひずみ」が生じるように、
私たち人間にも刺激(ストレッサー)が加わることで生じる「ひずみ」のことです。
現代社会は生活の多様化、複雑化によりいろいろな刺激があり、特に精神的ストレスが増加してきています。
ストレスから体を守るために
ストレスによって、肥満、食欲不振、胃・十二指腸潰瘍、大腸炎、高血圧症などの症状が発生します。
今回は、ストレスによる体の反応について説明をし、ストレスの時の食事について
発酵食を効果的に取り入れる方法について紹介します。
ストレスを引き起こす刺激
ストレスを引き起こす刺激(ストレッサー)には、以下のようなものがあります。
刺激(ストレッサー)が加わることで、体の中でさまざまなルートによる反応が生じてきます。
ストレスと高血圧の関係
視床下部の交感神経が刺激されると、副腎髄質からアドレナリンが分泌されます。このアドレナリンは血圧をコントロールする役割がありますが、ストレス状態に長くさらされると血圧が高くなる原因となってしまいます。また、免疫能力も低下します。
ストレスと様々な体の不調
ストレスを感じると、視床下部の刺激で脳下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモンが分泌されます。副腎皮質はこの副腎皮質刺激ホルモンを受け取り、副腎皮質ホルモンを分泌します。副腎皮質ホルモンには代謝や免疫を活性化させる作用があり、適切にはたらけば体をストレスから守ることができます。しかし、過剰に分泌された場合、体に以下のような様々な不調をきたします。
副腎皮質ホルモンが分泌されると、以下のような反応が起こります。
- インシュリンの分泌が抑制され、糖尿病が発症しやすくなります。
- 血圧が高くなり、血液中の中性脂肪も増え、血栓ができやすくなります。
- 胃酸や膵液の分泌が促進されます。
健康な人はストレスへの反応に対して、身体を正常にもどす仕組みが働きます。
もし、刺激(ストレッサー)が脳におこっても、睡眠をとると副交感神経が働くことで松果体からメラトニンが分泌され、ストレスが解消します。ストレス解消には以下にて説明する食事が大切です。
ストレス時の食事
ストレスを修復するために、食事は重要な役割を果たしています。ストレス時に消費される栄養素を補い、体調を整えましょう。また、ストレスがかかると体に様々な不調をきたします。不調の予防や修復のためにも、適した食品を積極的にとりましょう。
ストレス時に心掛けたい食事のとり方
- 高血圧になりがちなので、塩分の摂取を抑制するために、塩味の薄い料理や食べ物を取るようにします。
- 脂質異常症になりがちなので、油の摂取を控えましょう。ヨーグルトはたんぱく質を多く含み、脂肪も少ないので、ストレス修復に適した食べ物です。
- ストレス状態になると、たんぱく質、グルコース、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンAなどが消費されるので、これを補給する必要があります。
たんぱく質を多く含む食品
副腎皮質ホルモンによって、たんぱく質が分解され、不足するので、たんぱく質を補給する必要があります。
ヨーグルト、肉類、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)はたんぱく質を多く含みます。
ストレス状態になった時、たんぱく質不足を補うには食べ物だけでなく、筋肉量を増やすことで筋肉にたん白質を蓄えておくことで補給ができます。したがって、日頃から運動により筋肉量を多くしておくことも、ストレス修復に役立ちます。
グルコースを摂取するには
ストレスを受けると代謝が30から40%、増えます。そのためにはエネルギーが必要になります。
発酵食品は、でんぷんがグルコースに、たんぱく質はアミノ酸に分解されています。例えば、甘酒は米のでんぷんがエネルギーになりやすいブドウ糖(グルコース)に、ヨーグルトなら牛乳のたんぱく質がアミノ酸になっているので、食欲がない時でもエネルギーになりやすい食材です。
ビタミンB1を利用するには
ヨーグルトにはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類も多く含まれています。
甘酒には麹菌の作用で米のでんぷんがエネルギー源となるブドウ糖(グルコース)や、米のたんぱく質が体にとって欠かすことができない必須アミノ酸類に分解され、存在しています。また、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類も多く含まれています。
食欲がない時には、甘酒を飲むとエネルギー源となり、代謝も促進され、体力もついていきます。
ビタミンCを多く含む食品
刺激によって副腎皮質のビタミンCが減少するので、これを補う必要があります。
ブロッコリー、ピーマン、小松菜、みかん、いちご、レモンにはビタミンCが多く含まれています。
ストレスから体を守るために
ストレス予防には日頃の生活として以下の内容があげられます。
- 睡眠を毎日平均7~8時間とる。
- 身体運動を定期的に行う。
- たんぱく質やビタミン類を充分に摂取できる食事を摂取する。
ストレスを感じたら、以下のような対策をとってください。
- 睡眠時間を確保する。
- 消化のよい発酵食品からエネルギーや栄養をとるようにする。
- ビタミン類を充分とるようにする。
ストレス編まとめ
私たちの体はストレスから自分の体を守るという機能があります(恒常性)が、ストレスが長く続くと疾病を発症します。
疾病が発症しないうちに、今回紹介した栄養のとり方や発酵食を利用した食事を参考にしていただき、睡眠や気分転換によりストレスを解消してください。
ライフステージごとの
ヨーグルトの活用
監修 中部大学応用生物学部食品栄養科学科 教授 小川 宣子
協力 中部大学食品栄養科学科管理栄養科学専攻学生 後藤 匠