Dr.ノンの研究所壮年期×ヨーグルト‐Dr. Non's laboratory‐
今後の生活に影響を及ぼす
ターニングポイントです
壮年期から食生活に関しての意識や関心を持つことが、高齢期の健康に繋がります
発酵食には、麹菌や乳酸菌が含まれ、これは食品に含まれている成分を消化吸収しやすい形に分解し、
さらには腸内環境を整える働きをしています。
したがって、少し胃腸などの消化吸収能力が低下し、社会的にもストレスを受けやすいこの時期には、
食品の栄養を有効に活用できる発酵食を日常食に積極的に取り入れていくことで、
体力を維持することができ、疾病予防にもなります。
生活習慣病を誘発せず、健康な高齢期に移行していくための壮年期の食生活について紹介します。
壮年期
壮年期は30歳から49歳までを前半、50歳から64歳までを後半としています。
この時期は社会的には中堅として活躍し、家庭では子どもの成長を見守り、社会に送り出す一方で、 取り巻く環境は、高齢社会の到来、産業構造の変化、労働の省力化など複雑になり、 運動不足や睡眠不足など精神的・身体的に大きなストレスを受ける時期でもあります。
また、不規則な食生活や外食の増加、単身赴任での食事管理の欠如など、健康に影響を及ぼす要因が多く、 生活習慣病発症の可能性が大きな時期です。
壮年期について
30歳から老化がはじまります
30歳をすぎると自覚はないのですが、臓器の働きは低下し、40歳をすぎると、筋力の低下、疲労回復の遅れなどの症状を自覚するようになります。
肥満傾向になります
年齢とともに基礎代謝は低下し、身体を動かす機会も少なくなるのですが、食事の量はあまり減らないので、脂肪の蓄積が促進して肥満になりがちです。
肥満かどうかはBMI(body mass index)から判断してみましょう。
BMI計算フォーム
- 身長:
- cm
- 体重:
- kg
- 結果
壮年期の肥満
肥満は生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症、脳梗塞、虚血性心疾患、大腸がんなど)につながります。
生活習慣病と診断される前の段階として、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断が、生活習慣病の一次予防として実施されています。
栄養の取りすぎと運動不足によ内臓脂肪の蓄積を判断します。
内臓脂肪は、エネルギーを蓄積するだけでなく、数種類の生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌しています。この分泌により、下記①②③のようなことがらに影響を与えます。
食欲抑制作用をもっている
レプチンの機能が低下する
アディポサイトカインの分泌
食欲促進
抗動脈硬化作用や糖代謝の改善の役割を
もっているアディポネクチンの減少
動脈硬化・糖尿病
血圧上昇作用の働きがある
アンギオテンシノーゲンの増加
高血圧
特定保健指導対象者の選定基準
内臓脂肪の蓄積は、CTスキャンで測定するのが望ましいのですが、簡便法としてウエスト周囲径を計る方法があります。
注)喫煙歴の空欄は、階層化の判定が喫煙歴の有無に関係ないことを意味する。
- 血糖a 空腹時血糖100mg/dL以上又はb HbA1c(NGSP値) の場合5.6%以上
- 血圧a収縮期血圧130mmHg 以上又はb 拡張期血圧85mmHg 以上
- 脂質a 中性脂肪150mg/dL以上又はb HDL コレステロール40mg/dL未満
- 質問票喫煙歴あり(①から③のリスクが1つ以上の場合にのみカウント)
男性では85cm以上、女性では90cm以上の人で、さらに下記の要素のうち2項目以上当てはまる人がメタボリックシンドロームと判定され、40歳以上は特定保健指導対象者となります。
- 空腹時の血糖値が高い
- 中性脂肪(トリグリセライド)値が高い、または善玉コレステロールの値が低い
- 血圧が高い
内臓脂肪の蓄積を予防するには
メタボリックシンドロームの予防、すなわち内臓脂肪を蓄積しないためにはどうすればいいのでしょうか?日ごろの食事にどのような食品を選んだらいいか、考えてみましょう。ポイントはカロリーや脂肪をできるだけ抑えることです。
同じ食品群でもカロリーや脂肪の量は異なります。脂肪やカロリーが低い食品群や食品を選んでください。水分が多いヨーグルトや甘酒のような発酵食は有効にカロリーを摂取できる上に、満腹感を満たすことができますので、内臓脂肪の蓄積を予防することができます。
下記に簡単な例を挙げますので、普段の食生活と照らし合わせてみてください。
1)カロリーの低い食品を選ぶ
体内の中性脂肪の増加に気をつけましょう
中性脂肪の増加は高血圧症,脂質異常症,動脈硬化症などを誘発します。
菓子やアルコール飲料、砂糖などを過食すると中性脂肪が増え、エネルギーの取りすぎになります。糖分やアルコールの取り方に気を付けましょう。
1)間食
間食は糖分が少なく、カロリーの低いものを選びましょう。甘酒やヨーグルトは糖分やカロリーも低いので壮年期の間食にも適しています。
菓子名 | 重量(g) | エネルギー(kcal) | |
---|---|---|---|
和菓子 | 大福 | 1個 約100 | 250 |
串団子 | 1本 60 | 120~130 | |
どら焼き | 1個 100 | 250 | |
カステラ | 1切 50 | 160 | |
水羊羹 | 1切 60 | 110 | |
せんべい | 1枚 約20 | 80 | |
洋菓子 | ケーキ | 1切 100~150 | 350 |
シュークリーム | 1個 70 | 170 | |
クッキー | 1枚 10 | 50 | |
パイ | パイ 8 | 45 | |
ハードビスケット | 1枚 7 | 30 |
2)調味料
甘酒を砂糖やみりんの代わりに使用すると、料理はまろやかな甘味で、食材の旨みをひきたてることができます。
3)アルコール
女性ホルモンはアルコールの中間分解物であるアセトアルデヒドの分解を抑制するので、女性は肝臓障害を引き起こしやすいですし、皮下脂肪細胞に蓄積されて体外にでにくいので、飲酒には気を付けてください。
節度ある適度なアルコールの1日の量は20g程度です。そのためには、ビールなら中瓶(500ml)1本、清酒1合、ウィスキー・ブランデー ダブル30ml、焼酎(35℃)1合、ワイン1杯が目途となります。
甘酒はアルコールを含んでいませんが、アルコールに近い味覚でもあることから、アルコールの代わりに楽しんでみてはどうでしょうか?
社会的に忙しい日々をすごす時期ですが、生活習慣病やメタボリックシンドロームにならないためにも、自分の食事の内容を考えながら食べるようにしてください。食べ過ぎたと思ったら、次の日は控えめにするという調整も「あり」です。その時には、ある程度のカロリーもあり、満足感を得るには、炭水化物やたんぱく質が分解されており、水分が多い発酵食が有効です。
ライフステージごとの
ヨーグルトの活用
監修 中部大学応用生物学部食品栄養科学科 教授 小川 宣子
協力 中部大学食品栄養科学科管理栄養科学専攻学生 後藤 匠